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PRODIGY英語研究所

『システム英語長文頻出問題』シリーズの特徴

頻出の英単語長文とは?

大学入試で頻出の英語長文があります。「長文が頻出」と言われてもイメージしにくいかもしれませんが 、たとえば上の英語長文をご覧ください。
これは車いすの天才科学者スティーブン・オーキング博士の“Public Attitudes Towards Science”と題された文書の書き出しです。そして、この書き出し部分を大学入試問題として出題した大学は、次の10大学です。
愛知学院大学,亜細亜大学,滋賀歯科大学,上智大学,中央大学,明治大学,早稲田大学,和歌山大学,立命館大学,獨協大学

大学によって原文を最小限書き換えていたり、一部割愛している場合もありますが、同じ文章の同じ部分が10の大学で出題されているのです。これは決して珍しいことではありません。それどころか、同じ大学が同じ部分を、別の何度や別の学部で使用することさえあるのです。この『システム英語長文』では、こうした『頻出』の長文ばかりを収録しています。

なぜ他大学と同じ長文を別の年度に出題したりするのか、疑問に思われる方もおられるかもしれません。けれども、毎年度数百種類の大学入試問題が作られている現状では、過去の全大学の問題を避けて、時代に合った内容で、適切な難易度で、ちょうどよい長さの問題を作成することは不可能に近いです。実は、2007年に≪入試過去問題活用宣言≫という宣言が発表されました。これは、大学の入試問題において、試験過去問題をお互いの共有財産として活用しようという主旨の宣言です。現在にこの宣言に参加しているのは、国立大学28大学、公立大学20大学、私立大学69大学に上ります。
もちろん、この宣言に参加している大学だけではありません。東京大学でも慶応義塾大学でも、ほとんどすべての大学で他大学と同じ長文が出題されることがあります。全大学の過去問題をチェックすることなど、ほぼ不可能ですから、各大学が独自に、英米の著作物から入試問題としてふさわしい英文を選択し、それが偶然他大学と同じ英文であった場合の方がむしろ多いでしょう。
学生に読ませたい英文を探していると、同じ長文に出会うことはむしろ必然なのかもしれません。
書類では、同じ箇所が出題されていなくても、同じ出版社から出題されていれば、その大学名も掲載<頻出>と謳っている場合がありますが、本書に掲載している大学名は、同じ出版物の中でもその長文(またはその一部)がそのまま出題された大学名のみを掲載しています。4冊シリーズ『システム英語長文』では、長文1文にあたり平均4.5大学で出題されています。

頻出長文の同じ箇所が設問に!

上のページをもう一度見てください。同じ文章が出題されているだけでなく、同じ箇所が複数の大学で出題されているのがわかりますね?大学によって設問の形式は異っても、出題意図はほぼ同じということです。もちろん、これは単なる偶然ではありません。どの大学も英語教師ならココをききたい、というポイントを出題しているということです。和訳問題で問われようと内容一致の選択問題で問われようと、出題意図に大きな間違いはないことが多いです。

長年予備校で授業をしていると、受験を終えた学生から、「先生の授業でやっていた長文が本番で出ました」という声をよく耳にします。本シリーズの読者全員がそういう幸運に巡り会えるわけではありませんが、頻出長文で学習しておけば、大学入試の頻出事項に出会うことは間違いありません。

多くの大学の先生が、ききたいところを学習するということは、英語学習上つまずきやすいポイントを征服するということになります。つまり、頻出長文が最高の英語長文の教材であることは間違いないでしょう。

本シリーズには、有名な新聞や雑誌の記事はもちろん、「ハーバード大学白熱教室」のマイケル・サンデル、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング、英語研究の世界的権威デイヴィッド・クリスタル、ノーベル物理学賞受賞者のスティーヴン・ワインバーグなどの文章も登場します。その内容はとても興味深く、大学が求める知的水準を知ることができるでしょう。時には社会や経済や言語を、時には天文学や医学や生物学の世界を垣間見ながら、英語を学ぶ楽しさを味わってください。

大学入試の2 つの変化問題文の長文化と設問形式の変化

大学入試問題は、実は大きく変化しつつあります。まず、最も目を引く変化は、国公立大学であれ私立大学であれ、1 つの問題が長文化したことです。12年前の国公立大学(220 題)の読解問題の本文の平均語数は約480 語でしたが、現在の平均語数は約630 語と、約150 語増加しています。同じく12 年前の私立大学(300 題)の本文の平均語数は約490 語でしたが、現在の平均語数は約560 語で、こちらも約70 語増加しています。大学の難易度に関わらず、国公立大学でも私立大学でも700 語を越える長文が当たり前になっています。もちろん、問題の難易度と問題文の長さは比例するわけではありませんが、時間配分や問題の解法などは短い文章と異なりますので慣れておく必要があるでしょう。

国公立大難解問題語数

私立大難解問題語数

問題文が長文化したことに伴い、その設問形式も大きく変わりました。長い本文を読ませるわけですから、全体の内容を問う設問が増えたのも頷けます。たとえば、国公立大学では今も下線部和訳問題がほとんどの大学で出題されていますが、その問題数は12 年前のおよそ半分に減っています。それに代わって、要約問題(部分も含む)、英問英答問題などが増加しています。私立大学では文法語法の短文の問題よりも長文の読解問題の占める割合が増え、中でも選択式の英問英答問題が2.5 倍以上に増えています。また、見逃してはならないのは、国公立大学でも私立大学でも、長文中の空所補充問題は増加しているということです。長文中の空所補充問題は、文法語法の知識を確認するだけでなく、論旨展開の流れを捉えているかどうかを問う役割も担っています。
このように、大学入試問題は大きく変わりつつあります。本書はこうした最新のデータに基づいて、様々な形式の問題を収録していますから、なじみのない形式でもチャレンジしてみてください。それが未知の形式に備えることにもつながるはずです。

『システム英語長文』シリーズの編集方針

本シリーズは『システム英語長文 1) Basic』、『システム英語長文 2)Standard』、『システム英語長文 3) Advanced』(2018 年刊行予定)、『システム英語長文 4) Final』(2018 年刊行予定)の4 冊シリーズで、本文と設問の難易度でレベル分けしています。
全ての長文には出題大学名が書かれていますが、大学の難易度と、その大学の入試問題の難易度は、必ずしも一致しません。(合格最低点が高い大学も低い大学もあるということです。) 4冊のレベル分けにあたっては、のべ9000大学の入試問題のデータベースを基に、それぞれの長文の語彙レベルを判定しました。さらにコンピュータ・ソフトによる英文のReadability(読みやすさ)や、構文の複雑さや文法語法レベルも考慮しました。1冊の中では本文の語数の少ない英文から順番に配列していますが、長文の語数と難易度は必ずしも比例しませんので、『 1) Basic』の最後には、『 2) Standard』の最初の問題文よりも長い英文が収録されています。
また、大学入試問題の中には大学が原文の一部を書き換えている場合がありますが、本シリーズはできるだけ原文に近い形で収録しています。前後関係がないと理解不能な場合など必要最小限の書き換えはしていますが、原文に近い方が今後の出題に備えることになります。そのため、あまり見かけない語句や表現も登場することもありますが、大学入試同様の注を付けていますので、それを参照しながら解いてください。
設問については、複数の大学が同じ箇所に同じような出題をしている設問を優先して収録しました。最小限度で形式を変更した場合もありますが、基本的には表記されている複数の大学のどこかで出題された設問をそのまま収録しています。
本シリーズの音声CD は、アメリカ英語で書かれた英文はアメリカ英語で、イギリス英語で書かれた英文はイギリス英語で収録しています。これは東京大学のリスニング問題やTOEIC®®テストなどでアメリカ英語とイギリス英語の両方が使用されているからです。ただ慣れればどちらも聞き取れるようになりますから、英米の違いにあまりこだわらずに聞いてください。

本書もまた、多くの学生たちの示唆のおかげでここまでたどり着くことができました。英文校閲はPreston Houser先生をはじめ、何人ものコンサルタントに設問や例文もでチェックしていただきました。小島茂社長はじめ駿台文庫の皆様にはあらゆる面でご支援いだきました。編集は斉藤千咲様にご担当いただき、緻密極まりない作業を手際よく進めていただきました。気心の知れた方々に囲まれての仕事は至福というほかなく、お礼の申し上げようもありません。

2017年 秋 / 著者しるす

『システム英語長文頻出問題』シリーズの紹介

『システム英語長文頻出問題 1) Basic』

『システム英単語 Basic』の単語(=『システム英単語』第2章 Essential Stageまでの単語)をマスターしていれば、十分に対応できる英語長文問題が収録されています。一部『システム英単語 Basic』に収録されていない単語が出現しても、前後関係などからある程度類推できますし、それができなくても、設問にはあまり関係がないものがほとんどです。
先にも述べましたが、英語に自信がある人も、まず『システム英語長文1) Basic』から始めることをお勧めします。本書の≪文法チェック≫では、分詞、動名詞など、英文を読む際には不可欠な知識を取り上げています。収録されているのは、アメリカの作家ポール・オースターの作品をはじめ、読みやすくて内容のある長文ばかりです。ライティングでも使える英文ですので、基礎を固めて上を目指しましょう。速読やリスニングの訓練には登場する語句の98%以上を知っている必要があります。このレベルの音声CDは最適の教材になるはずです。

『システム英語長文頻出問題 2) Srandard』

『システム英単語 Basic』の単語(=『システム英単語』第2章 Essential Stageまでの単語)をマスターしていれば、十分に対応できる英語長文問題が収録されています。それ以上の単語も出現しますので、合わせて覚えておくようにしましょう。「『1)Basic』よりも高度な内容や複雑な文構造も登場し、国公立大学でも私立大学でも、このレベルの大学入試問題が最も多く出題されています。ロルフ・ドベリの世界的ベストセラーの一部や、Japan Times紙の記事も収録されています。

『システム英語長文頻出問題 3) Advanced』(2018年刊行)

『システム英単語』第3章 Advanced Stageまでの単語をマスターしていれば、対応できる上級レベルの大学入試問題です。「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンデル、英語研究の世界的権威デイヴィッド・クリスタルの英文や、National Geographic誌の記事も収録され、大学の教養レベルの英語長文が味わえます。

『システム英語長文頻出問題 4) Final』(2018年刊行)

『システム英単語』第4章 Final Stageまでの単語をマスターしていれば、対応できる英語長文問題が収録されています。大学入試問題の最難関レベルで、問題文が長く、解答に時間がかかる多様な問題が収録されています。車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング、ノーベル物理学賞受賞者のスティーヴン・ワインバーグの英文をはじめ、社会心理学者のエーリッヒ・フロムの古典的な文章や、New York Times紙やScientific Amrican誌の最新の記事などが、読者の好奇心を刺激するでしょう。

『システム英語長文頻出問題』シリーズの使用法

英語に自信がある人も、まず『システム英語長文頻出問題 1) Basic』から始めることをお勧めします。なぜなら、本シリーズでは≪文法チェック≫や≪語法チェック≫で、読解に必要な知識をまとめており、既習の事項でも改めて目を通して長期記憶にとどめてほしいからです。
標準的には次のような使用方法をおすすめします。

  • 設定時間内で設問を解く。
  • 【解答解説】で、正解を確認しながら、考え方を確認する。
  • 【詳説】本文と≪訳例≫や≪語句・表現≫を確認。特に重要な項目は、≪文法チェック≫や≪語法チェック≫にまとめられているので、しっかり目を通す。
  • 音声CD を聞きながら、スクリプトに目を通す。
  • わかりにくかった箇所の≪訳例≫や≪語句・表現≫を再確認。
  • スクリプト無しで音声CD を聞く。わかりにくかったら④に戻る。

設問を解いてみると、「本文の意味はだいたいわかっていたのに、答案と解答例がまるでちがう」ということがありませんか?。正確に英文の意味を把握するには、語彙だけでなく構文や文法の理解が不可欠です。【解答解説】、【詳説】は必ず目を通しましょう。
音声CD は必ず聞いてください。最近の脳科学によると、たいていの人は英文を黙読しているときに、脳の聴覚野を使っているそうです。音を使わずに英語を目で追っているだけでも、脳内では音声に変換されているらしいのです。また、数十万人のデータで、リスニング試験のスコアと筆記試験のスコアには明確に相関関係がありました。英語を読むことと聞くことは、別々の作業ではなく、極めて密接につながっているのです。
耳で聞くだけで理解できるようになるのが目標で、これが速読の訓練になります。本書の音声CDは、1分間に平均約130~150 語程度の速さで収録されていますが、このスピードで英文を理解できれば、どんな入試問題でも時間に困ることはありません。たとえば慶應義塾大学の総合政策学部の入試問題では、120 分テストで約4500 語(本文は約2500 語)の英語に目を通す必要がありますが、音声CD のスピードで読めれば、40 分ほどで本文および設問の全てに目を通せるはずです。
まずはスクリプトを見ながら何度も音声を聞くのが上達の秘訣です。つまり、文字情報と音声を結びつけられるようになってください。スクリプト無しで聞くのは、最後の確認のときです。
もちろん、ここに記した使用方法はあくまで標準的な学生を想定してのことです。しかし、標準的な学生など実はめったに存在しないのかもしれません。読者がそれぞれの事情、個性に合わせて、慌てず自分のペースで学習を継続してくださることを願っています。